研ぎによる模擬刀の切先調整を試行しました

こんにちは、そしべです。
なんと更新が半年以上も滞ってしまいました…。

今日は、模擬刀刀身の切先調整について紹介をします。

一般的な模擬刀の”通常”

模擬刀の刀身は鋳物ですから、その姿は鋳型が原型となります。
いくつかの種類が存在しますが、一般的な鋳型の特徴は次の通りです。

  • 浅い棒樋が一本掻かれている(表裏)
  • 切先に横手筋はなく平造のような姿
  • ある一定の刃渡りごとに鋳型が存在する

鋳物の刀身素材に研ぎを加えて表面を滑らかにし、鍍金後、仕上げを施すと模擬刀の刀身が完成します。

刀身に加える研ぎは一種/一度ではなく、段階に応じて複数回行います。
初期段階、刀身の肌は鋳物らしくざらざらガタガタしていて、まるでひどく錆びついてしまった日本刀のようです。
これに研ぎを加えてある程度平滑にしつつ、大まかに刀身の姿を整えます。
工程が進むに従って研ぎを行うヤスリの目もどんどん細かくなり、刀身の肌も滑らかになっていきます。
これら一定の下研ぎ後にようやく鍍金処理を行い、最終段階のバフ研磨で美しい鏡面に仕上がります。
最後に刃文と横手筋を入れ、完成となるのが刀身製作工程の概要です。

横手研ぎなし(通常)


鍍金、バフ研磨を終えた模擬刀刀身。
これに刃文と横手を入れ、完成します。

バフ研磨による横手筋の”ダレ”

最終段階でのバフ研磨を行うと、どうしても立っている角が丸みを帯びてしまいます。
(職人はこの状態を”ダレる”といいます)
これがデメリットとして働いてしまう最たる箇所が、横手筋です。

本来ならば、横手はその箇所の角が立つことで表現される、刀身の形状由来の筋です。
仮にこれを模擬刀でも再現しようと試み、鋳型の段階や下研ぎで横手の角を立てても、バフ研磨を行うことでどうしてもダレてしまいます。
刀身へのバフ研磨は模擬刀特有の工程ですから、模擬刀ならではの不都合といえるかも知れません。
ぼんやりとダレてしまった横手筋にならないよう、当店では刃文の一部として横手筋を入れて表現しています。

模擬刀で再現するキリリとした切先

ただ、模擬刀でも、確かな職人が工夫の上で時間を掛ければキリリとした切先に仕上げることは可能です。
以下が、実際に切先調整の試作工作を行った刀身の画像です。

横手研ぎあり(刃文入れ前)

切先調整を行った刀身(仕上がり後)。
横手筋、小鎬筋がピンと立ち、キリリとした雰囲気に仕上がっています。

通常、機械のみで行う研ぎやバフ研磨に細かな手作業を重ねることで、ここまで上品な切先に仕上げることが可能です。

多くの曲線で構成される切先に対して、面をとって角を立てる必要があるため、言葉では表せない苦労があると伺いました。
また、切先の広範囲に手を加える工程上、どうしてもふくらが枯れがちになってしまうそうです。
あるべき筋を筋として立て、ふくらの具合を維持することが最も難しいのだそうです。

実際、切先調整後の画像では切先全体が面になり、横手筋や小鎬筋がピンと立っていることが窺えると思います。

職人さん曰く、「日本刀(真剣)でも最終的には化粧でメリハリをつける」のだそうで、切先調整工作をお願いした刀身に刃文(直刃)と横手をつけてみました。
以下がその画像です。

横手研ぎあり(刃文入れ後)

切先調整工作実施後の刀身に仕上げを行った刀身。

いかがでしょうか。
もし同様の切先調整工作をご希望でしたら、お気軽にご相談下さい。
(特注居合刀の新規製作時のみに限らせて頂きます。)

今日は以上です。
そしべでした。

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