【コンセプト作品】総金属着打刀拵(フルメタル・ジャケット)

先週10月8日、9日の二日間に毎年恒例の関市刃物まつりが開催されました。
また同日程にて、関市の商工会青年部が主催する「ハモミリヲ・メタルアートコンテスト」が行われました。

ハモミリヲ・メタルアートコンテスト

「ハモミリヲ」とは、「刃物+調和+とても大きい」を表す造語です
「刃物を代表産業とする金属加工のまち」である関市らしい、メタルアート作品のコンテストを開催します
関市内外に金属加工・金属工芸をアピールできるハモミリヲ・メタルアート展に発想と技術を活かした作品を出品しませんか?

2016年ハモミリヲメタルアートコンテスト

2016年ハモミリヲメタルアートコンテスト

今年で第3回となるこのハモミリヲ・メタルアートコンテストに、当店工房も作品を出品しました。
この作品が非常におもしろかったのでご紹介します。

総金属着打刀拵(Full Metal Jacket

拵全体。総重量は圧巻の1460gです。 拵全体。総重量は圧巻の1460gです。

出品した作品は、外装のほとんどを金属製に置き換えた外装の打刀拵です。日本刀としての姿は保ちつつ、極力金属を使用し製作しました。
皺革で全体を覆った革包太刀拵や鮫皮を鞘全体に着せる総鮫着鞘などの例はあっても、全体が金属で覆われた外装は非常に珍しいのではないでしょうか。

標準刀身/2尺2寸ですが、鞘を払った重量は880gあります。 標準刀身/2尺2寸5分ですが、鞘を払った重量は880gあります。

刀身は当店の標準刀身/2尺2寸5分を使用しています。この刀身で居合刀を通常製作した場合、鞘を払った重量は770g程度となりますが本刀は880gとなり、100g近い重量増となりました。また鞘を含めた総重量は1460gとなり、まさにヘビーメタルな日本刀といえます。

鍔も全体の色合いにそろえて銀イブシ仕上げにしています。 鍔も全体の色合いにそろえて銀イブシ仕上げにしています。

鍔は全体の重量感に見合う重めのT-019-4IR4 肥後木瓜図。全体の色合いを乱さないよう、銀イブシ仕上げを行いました。

柄前全体。細い針金で柄巻を行っています。 柄前全体。細い針金で柄巻を行っています。

柄巻は本刀の見どころのひとつです。本来ならば組紐や革緒による柄糸で巻き締める柄巻を、細い針金を用いて行っています。この柄巻を行うにあたって、太さや硬さの異なるいくつもの針金を試しようやく完成することができた裏事情があります。また遊び心として、目釘を打たず木ネジで固定しています。

鞘全体。総金属着鞘のため非常に重量感があります。 鞘全体。総金属着鞘のため非常に重量感があります。

日本刀の外装の大部分を占める鞘にも多くの趣向が凝らされました。

鯉口も水牛角ではなく金属で特注製作しました。 鯉口も水牛角ではなく金属で特注製作しました。

水牛角などが用いられる鯉口も金属製の特注品です。鞘木地にも銀色の塗装を施し色味に一体感を持たせました。

K-045-3BR2 二重山路図の頭金に加工を行った栗形。 K-045-3BR2 二重山路図の頭金に加工を行った栗形。

鯉口と同様に水牛角などで製作されることの多い栗形は、既存の金具に加工を行って取り付けました。

下緒の代替に細いチェーンを使用し、南京錠で留めています。 下緒の代替に細いチェーンを使用し、南京錠で留めています。

本刀の見どころその2。下緒の変わりにヘビーメタルなイメージのチェーンを使用。これを南京錠で留めています。

籐巻鞘のように平らな針金を巻きつけた鞘。 籐巻鞘のように平らな針金を巻きつけた鞘。

本刀の見どころその3。籐巻のように平らな針金を巻きつけた総金属着鞘です。入手できた針金の寸法がとても短かったため、非常に細かなスパンでこれを継いで巻いています。刃や棟で針金を継ぐと戻ろうとする力が大きくなるためにスムーズに仕上がらないため、継ぐ位置に非常に苦労したと職人が漏らしていました。

鐺にはC-045-2BR2 本肥後図を取付。 鐺にはC-045-2BR2 本肥後図を取付。

鐺には全体のイメージにマッチする既存品を流用して取り付けました。

コンテスト結果:6位

以上のように多くの趣向が凝らされた本刀のコンテスト結果は6位でした。
全体で130を超える出品の結果ですので、存分に健闘したといえるのではないでしょうか。

ただ唯一の心残りは、柄地に着せた鮫皮です。柄地には通常の外装のように鮫皮を短冊着にし銀色で塗装して仕上げました。ここまで金属着にこだわったのですから、柄地は鮫皮ではなく圧出し鮫であったなら…と思います。

製作した職人に聞いたところ、来年も作品も出品を検討しているようです。
もし刃物まつりにご来訪されることがあれば、ハモミリヲ・メタルアートコンテストにもぜひ足をお運びください。

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